LOGINどの文字の奴から犯人を捜すか。 色々考えたけど、文字を見て一番単純そうなのが一行目の文字の奴だと思ったので。そこから開始することにした。 とは言えあの後は皆それぞれ仕事があったから、あの場はあれで解散。 で、翌日である今日の朝。 念の為に、三人のいる寮へ行ったんだけど、そこで事件が起きていた。 「陸ーっ、本当に大丈夫なのっ!?」 「………………いっそ蹴破る?」 陸実くんの部屋の前で海里くんと空良くんが慌ててドアを叩いて何か話していた。 「おはよう、海里くん、空良くん。何かあったの?」 「あ、鈴先輩。実は、陸が中から出て来なくて」 「出て来ない?鍵でもされてるの?」 「いえ。鍵はかかってないんです。ほら」 海里くんがドアノブを回すと確かに最後まで回るし、小さくドアが動く。 鍵がかかってたらこんな風にドアが緩く動く筈はなく、ガチンッと鍵のかかっている音がなる筈だ。でも開かない。 「陸実くんは中にいるんだよね?」 「はい。遠くからですけど声がするので」 「遠く?」 ドアの向うにいるんじゃないの? ドアに耳をピトッとつけてみると、 「―――ッ!―――!!!」 確かに何か言ってる声はしている。確かに声は遠いな…。 「取りあえず何処か体調が悪いとかじゃなさそうだね。……でもこのままだと陸実くんの仕事に支障が出ちゃうし。………蹴破ろうか」 ニッコリ。 今大事なのはドアじゃなく陸実くんの安全と仕事です。 「じゃあ、やっちゃおうかー。姫ちゃん、ちょっと離れててねー」 実はずっと後ろにいてくれた大地お兄ちゃんが、私達に下がる様に言うとドガンッとそれはもうあっさりとドアを蹴破って開けてくれた。 開いたドアの向こうに大地お兄ちゃんが先行して入ってくれた。 その後ろを私がそーっと入った。 んん?ドアを閉じていたのは何だったんだろう? ドアの周囲に何か……ガムテープ?しかも色とりどりのガムテープがべったりと。 何で内側にこんなガムテープがあるの? 「うおおおおおっ!!変な音がしたああああっ!!やべえええっ!!こえええええっ!!」 ………駄目だ。陸実くんの変な叫びの所為で全く頭が回転しないや。 中に入ったから声がしっかり聞こえてきている。 え?でもこの声って…反響してる…まさかっ!? 「大地お兄ちゃんっ!」 「解ってるっ!
「…………ふ、み………ぃ……」 どうも、美鈴(ヒロイン)です。 私、頑張りました…。 頑張りましたよ…。 ハマったー…。 ゲームやり過ぎて、すっかり真っ白な灰になってしまったよ…。 でもそのおかげで、聞いて下さい。 全てのゲージMAXにしましたっ!!拍手ーっ!!わーわーっ!! …………いや、マジで楽しかったけど、結構難易度高くてね? こんだけMAX、コンプリートにするの本当大変だったんだよー。 ましてや私のやっている事があの子達に反映するなら尚更でしょう? でもゲームやり過ぎて私の目がさよならしそう。 暫く、画面系見るの止めよう…。 うふふふふ…。 でも、ちょっと…もう少しやり込みたくもあるような…。 「……アホな事考えてないで取りあえず目薬買いに行こう…」 鞄を持ってから…もう面倒だからいいやと、財布だけを持ってふらふらと部屋を出て、そのままお外へ。 あうっ、…お日様が私の目を刺してくる…うぅぅ…。 浄化される乙女ゲーヒロインってどうですか…? ふみぃ~…く、薬屋さ~ん…。 ふらふら~っと…そう言えばお兄ちゃん達含め、家族皆が仕事にかかりきりなのを良い事にご飯もこっそりカップラーメンですませてたんだよね…。 いや、解るよ? 言いたい事は解るの。 ご飯は大事ってあなたが言ってたのよ、って言いたいのは解るの。 でもね、ゲーマーってのはゲームに集中したいが為に…さーせんした。 取りあえずちゃんとご飯食べよう。 ちゃんとご飯…う~ん…何食べようかな。 冷蔵庫の中、空っぽだと思うんだよね…。 食材も買って行こう。 「おいおい、姫。後ろから見てると危なくて仕方ないんだけど」 「ふみ?」 背後から声がして振り返るとそこには透馬お兄ちゃんが立っていた。 「うわ、すげぇ隈だな。なんでそんなんになってんだ」 笑いながら私の頭を撫でる透馬お兄ちゃんを真っ直ぐ見られない。 ゲームしてましたとは言えないよねぇ…。 「えーっと…えへへ」 笑って誤魔化せ。 「ったく、すーぐ笑って誤魔化そうとするな、姫は。ほら、姫。家に来いよ。コロッケ、おごってやる」 「ふみっ!?か、カレー味ありますかっ!?」 「ハハッ。多分あるぜ。さっき前を通ったらカレーの匂いしたからな」 「やたーっ!透馬お兄ちゃんっ、早く行こっ」 「姫、前
初めての歌番組の収録も無事終了ー。 美鈴センパイが出した宿題も何とか終了させた。 そして、今日の現場からの距離を考えて施設の方に帰って来たんだけど…。 「むつみにいちゃんっ!あーそーぼーっ!!」 「かいりおにいちゃん、ねてないのー?じゃあいっしょにねんねしよー」 「あきらにいにー、とどめをさすよ」 新しく施設に入った奴らも追加された状態で飛び掛かってこられた。 「……ちょっと失敗したな」 「ちょっとどころかだいぶ、だよ」 「……………………とどめ、くらった……」 「ほらほら3人共、子供達の相手してたら本当に寝れなくなるわよ。明日は朝早くから現場入りなんでしょう?」 母さん先生がオレ達三人を客間(オレ達の部屋はもう弟妹達に引き継がれている)に荷物を放り投げた。 鞄の中からスマホを取りだして、社長からの連絡がないかのチェック。 今日は特に連絡はないみたいだ。 宿題もさっき言ったように終わってるし…。 「今日はもう風呂入って寝るかー」 「……………すよー………」 「もう寝てんのかよっ!海、せめて布団敷けよっ」 「………………陸。おれが敷いておいた」 「自分の分だけなっ!海の分も敷いてやれよっ!」 「…………………風呂、行ってくる」 「うぉーいっ!!……結局オレが敷くのかよ」 襖の奥から布団を取り出して、敷いていく。 海をわざわざ布団に寝かすのも面倒だな…転がしてやれ。 あ、上下逆さまになった。…枕をそっちにおいてやるか。せめもの優しさ。 さて、オレも風呂にするかな。 着替え着替え、っとー? ~~~♪ スマホの着信音? スマホを持つと画面には白鳥美鈴と映っていて、即電話に出た。 『やっほー、陸実くん。こんばんわ』 「おうっ、こんばんわっ。美鈴センパイ」 うわーうわーっ。電話越しでも美鈴センパイの声って可愛いよなっ! 『ごめんねー?夜遅くに。ちょっと今日の感触を聞きたくてねー。どうだった?楽しかった?』 「おうっ。楽しかったぜっ」 『大成功だったんだ?』 「んー…ちょこちょこ失敗したけど、バレた感じはしなかったな」 『そっかぁ。うんうん。失敗をちゃんとカバー出来て楽しく終われたのなら良かったねぇ』 電話のむこうで美鈴センパイがにこにこ笑って頷いている姿が想像出来て嬉しくなる。 気にかけてくれて、し
「……すよー………」 ボクの寝息じゃないよ? この寝息はボクじゃなくて、鈴先輩の寝息。 どうしてレッスン室で卍描いて寝てるんだろう…? 今日レッスン室に一番乗りだったボクは、ドアを開けていきなり卍型で力尽きている鈴先輩を見て驚いた。 どうしたらいいんだろう? 取りあえず風邪引くといけないから、ボクの制服のジャケットでもかけておこ……あれ?でもボク達が近づいたら起きちゃうかな? 鈴先輩、男性恐怖症だし、ボク達が近づいたら気配で起きちゃうし。 …夢姉連れて来る? でも夢姉、今日歌番のリハがあるからって早くインしてる筈だし…。 …………………。 せめて暖かくして寝る為に…。 レッスン室のドアを閉めて、誰にも邪魔されないようにボクは閉めたドアを背に座った。 おやすみなさい。 これで誰かしら来たら起きれるしね。…………すよすよ……。ゴンッ。 「…………痛い…」 「そらそうだろ。痛くなる様に殴ったんだからな。お前なんつー場所で寝てんだ」 この声は透馬兄? 目を開けると呆れたように笑う透馬兄の顔があって、ボクの体は床に倒れていた。 「大体、想像はつくけどな。ほら、とっとと退け。中に姫がいるんだろ?」 「そうだった」 急いで立ち上がってドアを開ける。すると中では相変わらず鈴先輩が卍型で眠っていた。 「あーあー。なんつー格好で」 透馬兄は普通に鈴先輩に近寄り、先輩のほっぺをつついた。 「ひーめー。おーい、姫ー?起きないと顔に床の痕がつくぞー」 ボクがその様子を遠くからジッと見ていると、透馬兄がその視線に気付いて今度は少し強めに鈴先輩の肩を揺すった。 「………ふみぃ~……HARDモードが……ガチ、過ぎて、……つらぁ…」 「何か楽しい寝言言ってんな。こりゃまたゲームのし過ぎか?」 「鈴先輩、ゲームにはまってるの?」 「みたいだな。毎日プライベートな時間はそれに注ぎ込んでるっぽい。ほら、姫。しゃっきりしろ。ってーか、寝るならここじゃなくて家で寝ろ」 「……んー…起きる」 もっそりと起き上がった鈴先輩は目を擦って漸く目を開けた。 「ふあ~ぁ…。…うん、寝不足には慣れてるから大丈夫っ!さっ、早速仕事しようかっ。海里くん、スケジュール表持って来てる?」 スッと切り替えるあたり流石だと思う。 でも、まだ皆揃ってないんだけどな
じー…。 何度眺めても全く飽きない。 むしろ可愛くて仕方ない。 寝顔すら綺麗なのってもう犯罪だと思う。 「空良。歌を止めないのは良い事やと思うけど、姫さんに近寄り過ぎやで。あと、また同じ所外してる。それから何かおかしいな思とったら、お前歌詞間違えとるで。そこは「ゆいいつ」や。「ゆーーつ」じゃない」 そうなのか…。 「お前達が漢字を間違えやすいのは、意味を知らないからや。解らない事があればまず調べてみる癖をつけろ」 頷いて、早速辞書を取りだそうとしたが、「今やない」とあっさり奏輔様に止められてしまった。 ……一先ず歌い続けよう。 ……じー…。 「だから、姫さんを見過ぎやって言ってるやろ」 あっ、隠されたっ。 奏輔様の手が、とり先輩の顔を覆ってしまった。酷い…。 折角のおれの癒しタイム…。 歌い終わり、奏輔様がおれに改善点を告げてからもう一度曲を流す。 それにしても、なんでだろう? 昨日より歌いやすい気がするのは…。 とり先輩が来てくれてるからやる気も出るし。 …そう言えば、とり先輩の顔、もう見れるかな? そっと奏輔様にばれないように視線を送ると、奏輔様の手はとり先輩の頭を撫でていた。 羨ましい…。 おれもとり先輩の頭撫でたいし、奏輔様に撫でられたい…。うん?何かおれ変な事思った気がする。…気のせいかな? まぁ、細かい事はいいや。 それよりも、とり先輩の寝顔…。 じー…。 「ふみっ!?」 とり先輩が驚いてる。 いつの間に起きたんだろう? ベシっとデコピン喰らったから戻る事にする。 そうこうしてる間に陸と海が合流した。 とり先輩も帰っちゃったし、今日もレッスンして終わりかな? 「どう思う?透馬」 「…俺としては、やるのもありだと思うが」 「でもそれだとソロ活動になっちゃうんじゃねー?」 「いや、だからやるならまず動画サイトにアップする所からだろ」 「…ほんなら、一度とるだけ撮って見るか?」 「だな。えっと、姫が言ってた動画投稿開始日いつだっけ?」 「来月の14日って言ってたはずー。本当は12月の14日にしたかったらしいけどねー」 「?、12月の14日?」 「猿の日って奴だろ」 なんか奏輔様達が笑ってる。 一体何に笑ってるのか解らないけど。 「おーい、聞いてんのかよー、空」 「聞いてない
………徹夜ってしんどいよ、ね…。 いやね、頑張ったんだよ。 私めっちゃ頑張ったの…。 いや、違うの。本当は…本当はっ、止め時が見つからなかったんだっ! すっごい楽しかったのー。ゲームって楽しいよねー。 しかも練習モードで歌唱力のメーターゲージが貯まるまですっごく時間かかってね。 そのー……今日で完徹三日目です。 「てへっ!」 「王子。てへ、じゃねーし」 「いやんっ、ユメの口調が怖い事にーっ!」 「王子、目の下に隈とか。あり得ないから。取りあえず、今日のレッスン見てなくて良いから、寝て」 「えーっと…」 棗お兄ちゃんいないし、鴇お兄ちゃんもいないしなー…。優兎くんもいないし…あんまり眠れないから結果は一緒かもしれないと言うか何と言うか…。 「眠れないならせめて、目を閉じて休んでて」 「…はぁーい…」 こう言う時のユメと華菜ちゃんは強いのです。 仕方なく椅子に座って目を閉じようと思っていると、 「姫さん。こっちにおいで」 「?、奏輔お兄ちゃん?」 レッスン室の壁に背を預けている奏輔お兄ちゃんが私を呼んだ。 素直にそちらへ行くと何故か奏輔お兄ちゃんがポンポンと自分の太ももを叩いた。 「?」 理解出来ずに首を傾げていると、苦笑した奏輔お兄ちゃんが私の肩を掴んで、…これは膝枕でしょうか? 「奏輔お兄ちゃん?」 「今日はレッスン言うても陸実も海里もまだ学校の補習から来てへんし、空良は今から歌レッスンやからそれを子守歌にして寝たらええ。空良の奴、爆発的に歌上手くなったから、良い子守歌になると思うで?」 そう言って笑う奏輔お兄ちゃんを見上げると、奏輔お兄ちゃんは真っ直ぐ空良くんの方を向いていた。 歌の練習…。 天井を向いていた体を横にして、奏輔お兄ちゃんと一緒に空良くんを見守る。 「~~♪………ちょっと、違う?もう少し、低めに…~~~♪、……うん、こうだ…。じゃあ、一回通して歌ってみよう」 楽譜を持って立ち上がった空良くん。 「準備はええか?空良」 「はい。奏輔様」 しっかり頷いた空良くんに頷きで返した奏輔お兄ちゃんは手早くスマホを操作して音楽を流した。 あれ?この曲って…。 私が朝までしつこくしつこーくやり続けた練習モードの曲では…? あぁー、やばい。 イントロ流れただけで、指がコントローラーを握る形になる
それから、襲撃のある8日まで。私は、一日一回はあえて外出し、買い物をするようにした。と言うのも、お兄ちゃん達が、遭遇すると言う形を作りたいと言ったからだ。ゲームにより近づける為なんだって。私としてはお兄ちゃん達だけ危険な目に合わせるつもりは毛頭なかったから、即頷いた。むしろ一日一回で良いのかと聞き返してしまった位だ。けど余計なことをしてもまたお兄ちゃん達の計画を崩すだけだよねとちゃんと思い止まった。買い物をして、華菜ちゃんの家に帰って、華菜ちゃんのご家族の代わりにご飯を作って、パソコンを借りて一日分の仕事をして。これを数日繰り返した。…私、本当にこれでいいのかなぁ…?ちょっと不安に
「…美鈴?」声が聞こえて目を開くと、ママのドアップ。「美鈴。何をぼんやりしているの?早くその本を持って廊下に出てみなさい」そしてまたこのセリフ。私の手にはセーブの本。流石に二度も同じ事があれば、夢でも幻でもないって理解出来る。いや、元々夢の可能性は大分低かったんだけどね。そしてもう一つ、夢を否定するに思い至る理由がある。ここに、いつもママのドアップがあるこの時に戻る理由。こんな事現実的じゃないと思って、つい思考から排除してたんだけど…。でも…もう、そうとしか考えられない。私はやはり『手に持っていた』本を開いた。そこに書いてある文字は、私の文字。『ハートの意味が解らない。
私の視界は真っ暗闇の中。 ふっ。私を舐めないで貰いたいわねっ。 毎度毎度この真っ暗闇を見ていたら、もう分かるもんねっ! ズバリ、私は気を失っているっ!どやぁっ! ……。 ………。 ……………しくしくしく。全くもって威張れたことじゃないのよぅ…しくしくしく。 何で私はまた意識を失ってるのー…。 えっと…、私は何でこうなってるんだっけ?気を失う前は確か…。 確か私は旭と一緒に買い物した帰りに、旭に扮した表門の人に刺されてー…はて? そこから記憶がないと言う事は、私はあそこで気を失ったって事だよね? んで、今現在意識がない、と。そう言う事だよね? でも
※ このお話は本編である『乙女ゲームのヒロインに転生しました。でも私、男性恐怖症なんですけど…』の三十話から続くお話です。まだ本編をお読みで無い方はまずは本編からお楽しみください。「姫。この鎖主体のデザインと、薔薇主体のデザイン、どっちが可愛いと思う?」「んー…、私としては薔薇の方が可愛いと思うんだけどー…、遠目から見てどっちが可愛いと思う?大地お兄ちゃん」「鎖デザインのネックレスと、薔薇デザインのブレスレットー。成程。姫ちゃんが一番可愛いー」「俺もそう思う。姫さんが一番可愛い」「確かに。姫が一番可愛いな」「ちょ、ちょっと三人共っ、デザインの話でしょーっ。私は関係ないでしょーっ。







